茶、さびて
「カッカッカッカッ」と音が響く。
バーテンダーのように男が砕いていたのは大きな砂糖の塊だった。
周りに座る男達がそれを優しく見守っている。
つい1時間程前、僕らはある男達に連れられ此処にやって来た。
彼の両親はサハラの人だが、彼はこの街で生まれ育った。
謂わば「都会っ子」ってやつだ。
サハラの人達が砂漠からやってきて共同倉庫として使っているこの場所は
彼らの合宿所でもあった。
隣の部屋の窓際には僕らが選ばせてもらった葦とラクダの革で作られた
マットがずらりと並んでいる。
目の前にカップが並ぶ。どうやらお茶ができたらしい。
都会っ子に「このマットを一つ作るのにどのくらい時間がかかるの?」と聞くと、
彼は少し考えて「2~3ヶ月かな」と答えた。
サハラの男達は大声で笑いこういった、「3年だよ」。
お茶はとてつもなく甘く、そしてとてつもなく苦かった。
たくさんの場所で、たくさんの人とお茶を飲み集めたものを並べ、
みなさまのご来場をお待ちしております。
『STRANGE TO MEET YOU』を合言葉に旅先でのご縁の赴くまま活動中。
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