こだわりのしつらえ、統一感のある空間で創出する「みんなの居場所」
2019年、恵比寿にオープンした渋谷区の施設「景丘の家」の空間づくりを総合的にプロデュースしました。
この施設は、「こどもたちのために活用してほしい」と土地と邸宅を渋谷区に寄贈された故・郡司ひさゑさんの遺志を具現化したもので、こどもたちを中心に全世代の人々が自然に集まって交流できる場となっています。
空間デザインに際しては、これまでの経験から積み上げてきたノウハウを生かし、建築家・職人・アーティストと協力しながら心地よい居場所づくりを牽引。囲炉裏・土間・縁側を配して交流の場をしつらえたほか、乳幼児と保護者が穏やかに過ごせるフロア、小・中学生が体を動かしたり会話を楽しんだりできるプレイフロア、こども食堂や近隣住民の憩いの場として思い思いに利用できる「こどもテーブル」のフロアなど、各階のコンセプトを形に落とし込んでいきました。
郡司邸を解体した際の廃材も家具や囲炉裏に再利用してうまく取り入れ、かつての片鱗も美しく残しました。
恵比寿駅からほど近い立地にありながら、茅葺を施し、左官で仕上げたファサード、庭師による植栽など自然素材を多用して、集まる人を優しく見守ってくれるような屋外空間にもこだわっています。
さらに、アーティストの作品を各フロアにアクセントとして展示したほか、ひとつひとつの備品やおもちゃのセレクトなども含めて細部にまでこだわることで、ぬくもりのある心地いい空間が誕生しました。
「茅壁/左官プロジェクト」デザインディレクション
守り受け継いでいくものだった「茅葺き」や「左官」に、装飾としての魅力を伝えるという新しい風を吹き込まれている茅葺職人の相良育弥さんと左官職人の都倉達弥さんに、運営する「代官山ティーンズ・クリエイティブ」、「景丘の家」2つの施設のエントランスを、それぞれしつらえていただきました。
・「代官山ティーンズ・クリエイティブ」エントランス 茅壁
代官山という都会で暮らすこどもたちに日本の伝統である茅文化の継承や、そこにある自然との循環、自然物の描く美しさを感じてもらえるように演出
・「景丘の家」茅葺きと左官のエントランス
温もりの中に、神聖な空気も運んでくれる茅壁と左官壁をエントランスのデザインとしてディレクション