桑畑ちひろ

●作品によせて

 

瑪瑙、とんぼ玉:石を手に取ると、形、質感、重さから、時間や環境を受け入れてきた痕跡を感じ取ることができます。
何千万年前から、海や川に流されながら形成された、佇まいの美しい石は、継続や平和のシンボルでもあります。
自然からくるものは全て、変容の過程の中にあります。
私たちは流れ動いてゆく出来事の中にいて、目の前にあるものは常に動き、変化していく。
先人が作り上げたもの、私が作るものもまた、変容のサイクルの中にある。
そしてその先に、手にする人の時間と混ぜ合わさることで、価値が深まるものであることを願っています。

 

いのししの歯:動物の生体の一部を身につけることは、民族間における魔除けや御守り、自身の身を守る要素があります。
他の動物と異なり、人間は、環境の一部と同時に、環境をつくる側に立つ。
一方の傍観者では、どちらも守りきれない現実がそこに存在します。
今回、イノシシの歯を譲り受け、絹で歯を結び、心臓に近い位置に留め、首飾りをつくりました。
結ぶという行為は、祈りを表します。

 

小壺:沢山の小さな壺から連想したものは、水でした。水は、土や木を育て、人を養い、生命をつくる栄養素です。
その地と人をも変容させる力のある不思議な物質でもあります。
生命力、浄化力を持ち合わせる水を、壺に貯めるという行為を想像しながら制作しました。

 

 

 

 

 

譲り受けたパーツ|瑪瑙(ブラジル)、イノシシの歯(タイ)、とんぼ玉(グアテマラ)、小壺(リス族 / タイ)

 

 

 

 

 

 

CALLMOON | Chihiro Kuwahata / ジュエリーデザイナー
身体と自然の繋がりを探求し、ジュエリーと身につける人との相互作用に向き合いながら活動を行う。
銀細工の伝統技法とコンテンポラリーな作風を融合させ、現代の装身具を表現している。
https://call-moon.com

 

 

 

※作品は全て展示、販売いたします。
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