黒田雪子

●作品によせて

 

この土器は1989年のポルトガル語の新聞に包まれて私の元にやってきました。
山口吉彦さんにお訊ねしたところ、著書『共生の大地』の取材を兼ねて先住民を訪ねていた年で、
土器はその時に入手したとのことです。
新聞にはBelémと記載がありました。Belém(ベレム)はアマゾンへの玄関口にあたるブラジル北部の都市です。
器を直すにあたり、破片と共に時空の記録も繋げたく、この古新聞も使うことにしました。
土器を漆で直すには、染み込みが激しいため始終に渡り気が抜けませんが、それゆえ充分な強度となります。
甦った器が末長く、これら一連の軌跡を語り継いでくれたらと願います。

 

 

 

 

譲り受けたパーツ|土器(アスリニ族/ブラジル・パラソ州、ワイワイ族/ブラジル)

 

 

 

 

 

 

 

黒田雪子 / 金継師
グラフィックデザインの仕事を経て漆と出会い、その魅力に傾倒する。
2007年、金継師としての活動をスタート。
2013年、平凡社より『金継ぎをたのしむ』出版。
現在は修理としての金継ぎにとどまらない作品制作を中心として、国内外からの依頼を引き受けている。
http://www.kurodayukiko.com/
https://www.instagram.com/yukiko_krd/

 

 

 

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