人類の衣服の原点、纏う…
特に東南アジア諸国では、近年まで一枚の布を「纏う」文化が長く引き継がれてきた。
20年ほど前、訪れたカンボディアのトンデサップ湖で、
水から上がって濡れた絣の布を胸元で結び直す若い女性の姿がハッとするほど美しかった。
高床の家の床下では腰布だけつけておおらかに機を織る老夫婦、リズミカルな機音は今も耳に残っている。
プノンペンのホテルのドアマンは身につけた伝統的な長い美しい布の巻き方を教えてくれた。
アートスペース繭が長く集めてきた民族の多様な布から、
東南アジアのコレクションを中心にした「身に纏う手仕事」のご提案です。
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東南アジアは染織の宝庫です
今回、出品したものは、何れ劣らぬ手のかかったものばかり。
でもそれらは商品として作られたものではありません
日々の暮らしの中で生み出された知恵であり工夫であり愉しみでもあったのです
大切な誰かのために…………。
どうぞ手にとって触ってみてください
ずっと前に私たちが失ってしまった時間が
きっと手の中で蘇ることでしょう
アートスペース繭 店主 梅田美知子
35年前、新宿若松町の「華」というギャラリーで一枚のアフリカの布に出逢ったのが、
世界の民族の文化とアイデンティティに深く心惹かれることになったきっかけです。
今は亡き店主、俵 勇作さんは民芸品ではない、本物の世界の民族アートを一点一点魔法のように取り出しながら、
人類の原初に迫る話を聞かせてくださいました。
優れた現代作家の作品には原初に繋がるものがあります。
両者に共通したものを探り、ご紹介していく仕事ができればと思っています
出展場所・・・Gallery 4