南のアトリエからの手紙/野田ひろみ

第4回 モノヅクリのresource

SARAXJIJI designer 野田ひろみ
2000年から活動開始。
南熊本のとあるマンション10Fの1室で、
レディスアイテムのオリジナルを企画するアトリエと、
オリジナルアイテムや
ご縁あって私のもとへやってきてくれたモノ達を並べた
shopを運営しています。
http://www.sarajiji.com/

 

 

南のアトリエからの手紙

「九州・熊本での暮らしの中で育まれて得てきたものや
さまざまな人たちとのつながりで自分の中に生まれてきたことが
どのように自分のクリエイションに反映しているのか。
そんなことを思い返しながら
このちいさなアトリエから日々のことを
お手紙のようにお伝え出来たらと思います。」

 

第4回「モノヅクリのresource」(2013.08.05)

前回コラムを書かせてもらってから
やがて 9か月になろうとしています…。
本当に時が経つのは早いです。
あれから場所を移られた
新生mother dictionaryのスタートも
そろそろのようで楽しみにしているところです。

私もその間に
ブランドの名前にもなっている老猫のサラが18歳で天国へ行き
パタパタと自宅を引っ越しし
合間合間に取引先を訪問し
たくさんの方にご協力いただいて
新しい2013年のカタログを編集・発行し
元の自宅だった場所を店としてリニューアルオープンし
先日 吉祥寺のお取引先poooLさんでの展示会を終え…

気がつけば暑い暑い熊本の夏を過ごしています。

6月下旬から開催して頂いた 吉祥寺 poooL02 での展示会では
たくさんの方との出会いがあったのですが
同時期展示されていたキタムラマサコさんの葉器もある意味
ひとつの出会いでした。

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宝石とかにはほとんど興味ないのですが
こういう柔らかい光をはなつガラスモノに弱いのです。

長崎のギャラリーで求めたインゲヤード・ローマンのグラスとか
前回 poooL 本店に訪ねた際は
ガラス作家の大迫友紀さんのグラスも購入したのですが
今回のキタムラさんの葉器も、ものすごく心惹かれてしまい
悩みに悩んでshop用と自宅用と2種類選びました。
poooLのオーナー松本さんには
「ひろみさんはガラスもの お好きなんですね」とバレてしまいました。

面を通して透きとおる光や ムラのある厚みや
ひんやりした感触のなかにも
柔らかい線を感じたり
白い細く描かれた繊細な彫り模様が
古い外国の手紙に書かれた
華奢な手描きのフォントを思わせたり…

直結するわけではないですが
こういう心惹かれるものが私のクリエイションのベースとして
少しずつ蓄積されていきます。

毎年つくっているオリジナルアイテムの冊子カタログで
必ずモデルをやってくださっている
福岡県大牟田市のcafe neiのオーナー新開さんが
繋げてくださったご縁で
今 いろいろと楽しくおつきあいさせて頂いている
宝島染工 大籠さんのつくるソックスも
心惹かれるモノとして手元にやってきました。

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靴下というのは、収縮性の必要な道具なので
だいたいコットン100%では作れないものですが
宝島染工さんのソックスは
出来るだけ化繊の分量を抑えて
きつく締め過ぎない形と仕様で
まるで風合いはコットン100%のような優しさで
彼女たちのこだわりをつめこんで作った杢色のソックスを
さらに泥染や藍染めにしてあるのです。
以前SARAXJIJIでも天然染めで製品化したことがありましたが
またその手間と表現方法の深さに改めて
興味が湧いてきているところです。

そういうモノヅクリをやっている彼女たちとのコミュニケーションも
私には大事なリソースになります。

服を作る仕事とは別に
作られたものや伝えたい想いをどう表現するか という部分の
お手伝いをすることがたまにあります。
知人などでお互いの方向性が近い方からの依頼に限りますが…。
サイト作成やイメージムービーを手がけさせてもらった
夏椿 山本 桂さんは
体にも心にも美味しいお菓子を作っておられるのですが
彼女の作り出す繊細な味のおやつも
彼女の拠点である南阿蘇も 私にはとても大事なリソースです。
南阿蘇は訪れる季節で体に入ってくる感覚も違いますが
今の季節だと
水の流れる音、風の音、蜩の声、木々の揺れる音、
暗闇と森のような夏萩の彩り…
いろんな刺激を受けてなにかが自分の中に蓄えられる感じがします。

 http://player.vimeo.com/video/55489931?badge=0

そう考えていると
物質や環境そのものから というよりは
それに触れてみて五感をフルに使うことで
そこから得られる、または生まれる感情がかなり重要な気がします。

こういう形だから とか
こういう質感だから とかよりも
それによって自分がどう感じたか どんな想いが生まれたか
そういう部分が私にとってとても大事なことのようです。
出来るだけそれを敏感に感じ取れるように
受け入れるときは頭で考えず 心の奥で感じれるようにと意識します。

それが正しいことかはわかりませんが
そうやって集められた目に見えないなにかが蓄積されていって
物体である自分の体でいろんなツールを使って
なにかが生まれてきているのだと思っています。

先の細いコンマ4のペンで描いてみる線だったり
Macintoshのキーをタッチしたりマウスを動かしてみたり
直接布を触って裁断してみたり…
さまざまなツールを通していろんなことがアウトプットされる時は
とてもワクワクします。

置いてあるのをただ見ただけではわかりにくい
SARAXJIJIのアイテムですが
それに触れて 身にまとって 立体になった時に
そういう目に見えない私の想いを感じ取ってくださる方から
最近はいろんなお言葉を頂けるようになりました。
置いているだけではわからないが故に
身にまとった時とのギャップもあるのかもしれません。
着てみたらすごくよかった と言われることが多いのも
そういう理由からなのでしょう。

また それを丁寧に伝えてくださる方が
私の周りにはたくさんいらして
恵まれているなとつくづく思います。

いろんなところへ行って
いろんな方たちと出会って
いろんなモノに触れて
拠点である熊本に戻っては
豊かな緑に囲まれることでまたすべてが層のように重なり…。
これを繰り返すことが私には必要なのかなと思います。

秋は初めて訪れる盛岡kasi-friendlyさんと
前回のコラムで書いた東京copseさんで
展示会です。
また次のお手紙まで…。

 

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